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ライセンスのキャスティング、「キャラクターは絵素材だから、起用が簡単」は誤り

小磯 晶(こいそ あき)
株式会社エイスリー 総合キャスティング事業部 ライツユニットリーダー


大学卒業後、アニメグッズや企業ノベルティ等を制作する企業にて、商品企画、法人営業、進行管理等に従事。その後エイスリーに入社し、2年間、声優 / VTuber / アニメ / キャラクター等を専門に扱うキャスティングディレクターとして従事し、現在ライツユニットリーダーを務める。
アニメ、漫画、ゲーム、VTuber、歌い手等、サブカルチャー全般に広く興味を持つ。自称“オタクのオタク”であり、サブカルチャー業界の動向や消費者インサイトの情報収集に励む。


キャラクターだけでなく、歌い手やブランドもライセンス

ーまずは、ライツユニットに関してお伺いさせてください!

ライツユニットは今年の5月に設立したチームです。ライセンスビジネスに特化したキャスティングを行っています!

私が前職でグッズなどのライセンスに携わり、かつエイスリーではVTuberやアニメ系の舞台など2次元系の案件を担当していたこともあって、今はライツユニットのリーダーを務めさせていただいています。

ーライツユニットでは、どのようなジャンルを扱っていますか。

キャラクター、アニメ、漫画、VTuber、歌い手、ブランドなどのライセンスです。ライセンスビジネスというと、キャラクターやアニメ、漫画あたりが思い浮かべやすいでしょうか。

ーそうですね。歌い手やブランドは意外でした!

ですよね。
そもそも歌い手とは、ニコニコ動画や、最近ではYouTube等で歌ってみた動画を配信している方々のことを指します。歌い手には、顔出しで活動している方と、顔出しせずに自身のアイコンとなるイラストを用いて活動している方がいます。後者を起用する場合は、イラストを使用することになり、著作権が絡んでくるため、ライセンスビジネスに該当します。

またブランドに関しては、例えばアパレルブランドとコラボした限定フレーバーの飲み物といった活用方法がありますよね。自社のメディアやアパレルブランドの権利を、他社の商品に利用することもライセンスビジネスなんです。

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金額、工数、効果のイメージと現実のギャップを埋めることも、キャスティングの仕事

ー直近でいうと、広告主または広告代理店のクライアントからどのようなご相談が多いですか。

キャラクター系のご相談が多いです。
キャラクターだと、病気に罹ることもないですし、不祥事を起こすこともありません。コロナ禍の今、芸能人・インフルエンサー等の“人”を起用した場合、コロナに罹って撮影できないリスクがあるので、キャラクターは使い勝手がいいといった印象があるようです。

あとはアニメ映画の歴史的大ヒットの効果も大きいと思います。「コンテンツの影響力はすごい!」といった風潮に拍車がかかったように感じます。

―実際、キャラクターを起用することはハードルが高い印象ですが、いかがでしょうか。

そうですね。タレントに比べると確認にお時間を要したり、また、金額感も比較的お高めになりがちだったりします。
ものによりますが、ひとつのコンテンツにたくさんの人や企業が関わっているものが世の中には数多くあります。そういったコンテンツを動かそうとすると、多くの関係者の確認や稼働が必要になるため、必然的に時間もお金もかかるケースが多いのです。

一方でクライアントの中には、「キャラクター、つまり絵素材だから簡単に起用できるのでは」とイメージをお持ちの方が多いです。

ークライアントが抱くイメージと現実のギャップがありますね。そうなるとキャラクターをはじめとしたライセンスの提案を通すことはなかなか難しいのではと思います。

そうですね、難しいです。
クライアントがそのコンテンツ自体を知らない場合も多いので、一筋縄では提案が通らないです。

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―ですよね……!どのように工夫していますか。

そのコンテンツのライセンスを管理する版元さんにお願いして、クライアントが検討するのに必要な情報をいただいたり、自分で集められる限りの情報を集めて、提案資料を作成しています。

具体例を挙げると、特定のお菓子を購入するとノベルティがもらえるキャンペーンにVTuberを提案したのですが、クライアントには刺さらなくて...…。

ただVTuberには熱量の高いファンがついているので、購買に繋がりやすい傾向があります。キャンペーンが成功するのではないかと感じ、諦めずに提案を続けることにしました。

クライアントには、「VTuberとはそもそもなにか」という超初歩的な部分から、コンテンツのファン属性、ジャンルの盛り上がりなど、とにかく集められる限りの情報を集め、資料化してご説明を行い、三度目のご提案でやっと起用決定のご判断をいただくことができました。

―ただコンテンツを紹介する以上に、金額、工数、効果に関してクライアントの期待値をコントロールしてギャップを埋めることが重要ですね。


好きという気持ちに関わるからこそ、よくも悪くも反響が大きい

―他ジャンルと比べて、ライセンスを起用することの特徴はどこにありますか。

“好き”という気持ちに関わっているところでしょうか。
前提として、ライセンスビジネスが成り立っているのは、そのコンテンツにファンがいるからですよね。

ファンに、「好きな気持ちを商売に利用されている」と思われてしまうと、反発が起きやすく、一気に炎上してしまうことも……。

―確かに……!

気をつけないと、炎上するポイントはたくさんあります。
ローンチしたあとに火種となってしまうこともあるので、「これを行ったらファンは嫌がります」、「こういうことを言うとファンからこういう反応が来る恐れがありますよ」、「物販即日完売したら、問い合わせのお電話がたくさんきますよ」など、ローンチする前に、想定リスクはなるべくクライアントへお伝えするようにしています。

また、普段から、「炎上」については積極的に情報収集しています。過去こういう事例があったんですよとお伝えすると、クライアントも実感するじゃないですか。クライアントと目線を合わせてリスクヘッジするように心がけています。

一般的に、ファンの熱量が高いほどリスクにつながるポイントが多いと言われていますが、一方で、コンテンツが起用された商品・サービスにいい印象を持っていただいたり、起用するとよい効果に繋がる可能性も高いです。

―リスクはあるものの、よい反響があると、キャスティングのやりがいを感じますね。反響をコントロールすることもキャスティングディレクターの醍醐味なのではと。

そうですね。
自分なりに考えて「こうするのがいいと思います」とご提案した内容が、ローンチされたときにSNS等で良好な反応をいただけていたりすると、すごく嬉しいです。

次々に様々なコンテンツが生まれている世の中で、取り残されないように新しいジャンルも勉強し続け、今後ともよりよいご提案ができるようにしていきたいです。

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